C#ATIA

↑タイトル詐欺 主にFusion360API 偶にCATIA V5 VBA(絶賛ネタ切れ中)

Fusion360CAM "式" を利用し類似経路をお手軽に作成してみる

前回こちらで試した際
Fusion360CAM イビツな材料からの粗加工経路作成 - C#ATIA
"式" が利用できる事に気が付いたので、これを利用した際の
ちょっとしたアイデアを示したいかなぁ と思っています。


僕の場合、放電加工の電極の加工が多いため、一般的な部品加工
とはちょっと異なる部分があります。 放電加工はこんな感じです。
放電ギャップ
うちは放電加工をやらないので、僕も良くわかっていないのが
本音です。

"ちょっと異なる" 部分は、部品加工の場合は仕上げ代 "0" で
経路を作成しますが、電極の場合は放電ギャップ分 小さく加工する
場合が多いです。
電極の減寸方法
(こちらのサイトの "減寸" が、それにあたります)

揺動方法にもよりますが、話を簡略化するため球揺動を前提で
お話を進めます。 本来、モデルを放電ギャップ分オフセットしてしまい
仕上げ代 "0" で経路を作成する方が望ましいと日々感じては
いるのですが、恐らく手間が大きく、多くの同業者さんは
仕上げ代マイナス で経路を作成して加工しているのであろうと
思われます。(角を出したい とかは別ですが)

放電加工でも粗加工、仕上げ加工を必要とされる場合があり、
その場合同一形状に対し、異なる放電ギャップを設定する場合が
ほとんどとなります。 仕上がりの違いはこんな感じです。
放電加工に関するよくあるご質問 | 太陽放電工業


前置きが長くなりましたが、本題としては
"同一形状に対し異なる仕上げ代の経路を、楽に作成したい"
と言うことです。 "めんどくさがり" らしいテーマです。


ちょっとは電極らしいものをと思い、こんな形状にしてみました。
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電極の場合、放電部分と基準面部分さえ仕上がっていれば
良い事が多いため、全てを仕上げない場合が多いです。
今回は先端から15mm程まで仕上がっていれば良いことにします。
放電ギャップは、粗電極-0.2mm 仕上げ電極-0.1mmとします。

又、客先にもよりますが基準面には放電ギャップを入れない場合が
多いため、基準面はギャップ無しとします。



まずセットアップを新作しますが、ストックの "-Zオフセット" の値を "-0.2"
としておきます。 本当はこんなことをしたくは無いのですが、
チラッと探しては見たものの、他に影響が出なさそうな部分が
見つからなかった為の代案です。
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続いて、粗加工です。 折角なので負荷制御を。
工具等を設定を行った後、"パス" タブの "径方向の仕上げ代" で
コンテキストメニュー(右クリック)で "式を編集" を選択。
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とりあえず0.2mm残しまで加工したいので、"0.2+放電ギャップ"
としたいです。 先日のコメントに書いたリストから、"ストック -Zオフセット"
っぽい物を探すと、"stockZLow" があったのでこれを利用し
式 としては "stockZLow + 0.2" にして見ます。
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これで "OK" を押すと、ほらっ・・・あれ?
「(-0.2) + (0.2)」は "0" のハズなのに・・・。
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色々試したところ、"stockZLow" は、設定値のマイナスが帰って来ている
感じですが、確信が持てないです。
(Autodeskのフォーラムに投げるべきだとは思うのですが、確信持てないです)
とりあえず式は "stockZLow * -1 + 0.2" としてみました。


"残りの工程全てに、式を割り当てるの面倒だなぁ" と思っていたの
ですが、先程の "負荷制御" のコンテキストメニューの "派生操作を作成" から
作成すると、先程の式が継承されてきました。便利ですね。
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一応、残りの工程を作成してみました。
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とりあえず粗電極-0.2mmは完成です。
切削条件や加工ピッチ等はいい加減ですが。


続いて、仕上げ電極-0.1mmを作成するのですが、通常であれば
全ての工程の仕上げ代をチマチマ直して再計算させる必要があります。

今回は式を利用しましたので、簡単です。
最初のセットアップの "ストック -Zオフセット" の値を -0.2 → -0.1 に
直すだけです。
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再計算を促すために、全工程がビックリマーク(エクスクラメーションマーク)が
付きます。 前回 "まとめて再計算させる方法あるのかな?"
と書いたのですが、セットアップのコンテキストメニューの "ツールパスを生成"
で出来ました。 やっぱり機能があるんですね。
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出来上がりはこんな感じです。

"共有" は、これで良いのかな?
Unsupported Browser ~ A360


本当は、"ストック -Zオフセット" では無くて、CATIAのユーザーが作成する
パラメータのような機能が無いか探しました。 で、ありました。
f:id:kandennti:20160823111506p:plain
"モデル" - "修正" の一番下に "パラメータを変更" があります。
但し、パラメトリックな状態でしかこのコマンド出ません。
こちらの "おまじない" の関連です。
Fusion360のダイレクトモデリング - C#ATIA

"パラメータ" ダイアログが出てくるので、ユーザパラメータの横の緑の "+"
を押すと任意のパラメータが追加できました。
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CAMに戻って先程のパラメータが利用できないかなぁと思い
こんな式にしてみました。
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でも、やっぱりダメでした。
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CAMからユーザパラメータにアクセスする方法あるのかな?