よく "スケッチはシンプルに!" って見かけるのですが、具体的に "これ!!!"
と言う記述を見たことがありません。僕が知らないだけの可能性は高いですが。
分かる方(特にCATIAな方は、ほぼ分かっているお話です)には言うまでもない話だと
思うのですが、趣味で3DCADを使い始めた方はアドバイスされる機会や実際にその様に
作られているデータを見る機会が少ないはずなので、"シンプルなスケッチ”
と言うのがイメージ出来ない様な気がしています。
普段ほぼモデリングしない人間が書いて説得力に欠けるのですが、僕なりの
手法を記載しておきます。
モデリングする方法と言いますか、方向性は立場によって大きく異なると勝手ながら
思っており、答えが一つにはならないのではないかと思っています。
例えば、図面が既にあり3DCADモデルを作るような場合と、周囲の部品が3DCADデータ
であり、それらに関連する部品を設計しながらモデリングする場合とでは、
根本のアプローチが異なるはずです。
〇前置き
・"以下は、あくまで個人的な見解です。" と、逃げ道は確保させて下さいw
・"お前は記載している方法で毎回必ず作ってるんだな" と突っ込まれると辛いです。
・異論については "ウェルカム" なのですが、ひよこをあやすようにお願いします。
・既に図面が完成しており、パース的なモデリングです。
・普段行う業務の関係上、抜き勾配を付けています。
〇形状
こんな図面とします。
本当はWeb上にupされている図面が良かったのですが、ちょうど手ごろなものが
見つからなかった為、あまり意味の無い形状で申し訳ないです。
わかりにくい場合は、こちらをご覧になればズーム出来ます。
Fusion360 図面の埋め込み - C#ATIA
〇考察
形状の寸法が内側基準になっています。
この為、内側からスケッチを作成する事になるはずです。
そこで、こんな感じのスケッチを描いたりしていないでしょうか。
細かな部分は見にくいと思うのですが、要は完成した状態の形状をスケッチで
全て描いた状態です。
世間ではこれを "複雑なスケッチ" と呼んでいると思います。
〇原点・基準を探す
3次元CAD利用技術者試験の問題の場合は、重心位置を問う問題がある関係上、
作成する際の原点が記載されていますが、それ以外の場合はほぼ原点の記載は
無いはずです。
その様な場合は形状に惑わされず、寸法が多く引き出されている部分を
原点とすれば良いかな? と思っています。
累進寸法があると "0" の位置だとすぐわかるのですが、Fusion360には無いん
ですね・・・。累進寸法使うと、図面内のスペースがかなり節約できるので
大好きなのに残念。
〇ボス又は穴を探す
"絶対" とは言いませんが、多くの部品にはボスや穴があり、そこが基準とまでは
言いませんが、形状を決定する大きな要因になっている場合が多いです。
その為、僕の場合はボスを描きます。
あぁ完全拘束は大前提です。
〇フィレットはスケッチしない
これは賛否あるかも知れません。業務の癖なのですがスケッチでは無く3Dの
フィレットを使ってます。
この理由は、前置きに記載した "抜き勾配を付けています" の影響が大きいです。
試しに "複雑なスケッチ" を押し出し、勾配を付けてボディを作ります。
この形状を "曲率マップ解析" で表示させるとこんな感じです。
一定Rサイズのフィレットになってません。(徐辺フィレットでもない)
実際に上下のRサイズを測定しても一定Rサイズになっていない事が分かります。
スケッチにはフィレット付けず、押し出し、勾配付けの後にフィレットを付けた
場合、当然一定Rサイズのフィレットになってます。
スパインの関係から形状からRサイズを直接測定出来ないので、自作アドインで
測定してます。スパインについてはこちら。
スパインの理解 - C#ATIA
要は形状が違います。どちらが正解か? と言えば個人的には図面の要件を
満たしている為、両方正解だと思っているのですが、加工の都合上一定Rサイズの
方が作業しやすいです。
これはあくまで、フィレットのお話です。
例えば、参考寸法になっていますがこちらのR30はフィレットでは無いですよね?
これは中心点を寸法で指定しているため、形状を作る為のR形状なのでスケッチで
描きます。僕の場合はこんな感じです。
この形状、あの図面から見つかりますかね?
以前は無かったのですが、今はフルラウンドフィレット(CATIAの3接フィレット)が
あるので、スケッチは単なる四角でも良いのですが、図面と寸法の押さえ方が
変わってしまうので、Rはスケッチで描いちゃいますね。
ん~考えたらこれぐらいかな?伝わるかな?
完成したものはこちら。
CATIAだったらユーザーパターンを絶対使います。